2009年7月22日水曜日

コラム ~ケアマネジメントは給付抑制の手段か?~

公的介護保険制度では介護支援専門員がケアプランを作成することで償還払い(10割負担をしその後、9割の還付を受ける方法*1)から現物給付(サービスを受け1割を支払う方法*1)に変更することができる。

ケアマネジメントはそもそもソーシャルワークにおけるアプローチ方法の一つでしかないと考えると「高齢者介護=ケアマネジメントが必要」という図式が崩れるように感じる。

しかも、介護保険で規定されているケアマネジメントは紹介派遣型でしかなく緊急介入等を視野に入れていないことも注意が必要である。
そもそも、ケアマネジメントの手法は様々なサービスのネットワークを構築することが必要であり、「通所介護(デイサービス)を利用したい。」というような場合において、「ケアマネジメントの手法が必要か?」という疑問も感じる。他方で「主観的ニードだけではなく通所介護が通所リハビリが適切であるケースもあるということでは、専門職の支援としてケアマネジメントの手法が代用されるべきである。」という考え方もあるが、ケアマネジメントではなくナラティブアプローチやエンパワメントアプローチ、行動変容アプローチでも良いわけである。


2000年から始まった介護保険制度は数度の改正を経て、介護支援専門員の判断の幅がとても狭くなってきたことは「散歩の可否」からも明らかであり、また今回の認定調査における軽度誘導への動きからも、給付抑制に走っているのはマスコミでも取り上げられている。

本来、ケアマネージャーはソーシャルワークの専門職として独自裁量がある程度(これは公的保険である限り、法的な取り決めは必要であるため)の裁量をもち判断をすることが必要であるが、ここ近年の厚生労働省の動きは「ケアマネジメント=給付抑制の手段」としか考えていないように感じられる。

ケアマネジメントが本当に必要な被保険者に「幸せになるアプローチ」として届くことを祈るばかりである。

*1:介護保険制度に基づく規定。生活保護を除く。また、介護支援専門員が作成しなくとも、セルフプランでも現物給付を行うことができる。

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